王子様はカリスマホスト
「へーえ、ホストかあ。じゃあ、当然イケメンなんだ?」

琴乃の言葉に、あたしは一瞬躊躇してしまう。

「イケメンっちゃあイケメンだけど・・・・・」

「なに?」

「性格、悪いよ」

あたしの言葉に、琴乃は目をパチクリさせる。

「さっき、優しいお兄ちゃんって言ってなかった?」

「だから、それは子供の頃の話。久しぶりにあったら全然変わっちゃってるんだもん。はっきり言ってショックだよ」

はーっと大きく溜め息をつく。

琴乃はそんなあたしをじっと見ていたけど。

「でも、思ったより元気そうで良かった」

「え?」

「あんな事故にあって、両親なくしちゃって・・・・・すごいショックだろうなって思ってたの。正直、どうやって慰めたらいいんだろうって本気で悩んでたんだ」

「琴乃・・・・・」

「大変だと思うけど、頑張って。あたしにできることがあったらいつでも協力するからね!」

「―――ありがと、琴乃」


入学そうそう事故にあって、1週間も休んで。

ただでさえぎこちない空気を更にぎこちないものにしてるみたいでみんなの視線が痛かった。

そんな中で、琴乃のような友達がいてくれることが嬉しかった。

本当は、退院したばかりなんだし、もう少し休めばと言われていた。

初七日が終わったばかりなんだし、あと2、3日休んだ方がいいと。

でもあたしは、家でじっとしているのは嫌だった。

1人でいたらきっと両親のことを考えてしまうから。

気がついたら2人は居なくなっていた。

まるで旅行にでも行ってしまったみたいに。

だから、実感がわかないのだ。

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