王子様はカリスマホスト
「こいつの部屋に勝手に入るな。訴えられるぞ」

お兄ちゃんの言い方に、思わずむっとする。

「―――叔父さんに、鍵つけてもらう」

「ああ、そうすれば。ついでに2階の部屋にもつけてもらうかな。覗き魔に覗かれないように」

「覗き魔って―――」

あたしの言葉に、お兄ちゃんがにやりと笑う。

「俺たちに、血を吸われたいって言うならやってやらなくもねえけど。高くつくぜ」

―――あったま来た!

「誰が!!頼まれてもあんたたちの部屋なんか覗いたりしないから、ご心配なく!」

そう怒鳴ってから、あたしは部屋に入り思いっきり扉を閉めた。

扉の外で、あいつの声が聞こえた。

「こわ。ずいぶん気の短いガキっすね」

「―――いいから、こっち来いよ。また怒鳴られるぞ」

2人が、離れて行く気配。


―――何がホストよ。

―――何がヴァンパイアよ。

ちょっと位イケメンだからって、あの態度は何!?

馬鹿にして!!

気の短いガキで悪かったわね!

もしあのホストクラブ行っても、絶対あの2人だけは指名しないんだから!

そう決意して。

あたしは拳を握りしめたのだった・・・・・。
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