王子様はカリスマホスト
『お前を、守るから―――叔父さんと叔母さんが安心できるように―――ちゃんと守るから―――だから、うちに戻ろう』

そのお兄ちゃんの言葉に、あたしは体から力が抜けて行くのを感じた。

―――もう、ここにパパとママは帰ってこない―――

『―――叔父さんと叔母さんは―――死んだんだよ。もう、ここには戻ってこない―――。お前だって、わかってるんだろ?もう―――この家には、戻れないんだよ』

―――わかってるよ。

本当はあたしだって―――

だけど―――


家に戻ったあたしを、叔父さんが真っ青な顔で迎えた。

「唯菜ちゃん!よかった、無事で!―――ごめんよ、僕が無神経なことを言ったばっかりに―――」

そう言って目に涙を溜める叔父さんを見て、あたしは漸くわかった。

―――そうか・・・・・。叔父さんも、パパが死んですごく悲しかったんだ。

自分の弟が死んだんだもの。悲しくないわけがない。

だけど叔父さんはそれをあたしに見せないようにして―――

必死に、あたしを守ろうとしてくれたんだ。

「あたしこそ、勝手に飛び出してごめんなさい―――。もう、大丈夫だから―――」

そう言ったあたしを、叔父さんは泣きながら抱きしめてくれた。

そしてその横を、お兄ちゃんが通り過ぎて行った。

ちらりとあたしの方を振り向いたその表情は、いつもと同じちょっと冷たい表情に見えたけれど―――

でも、きっと・・・・・

「―――あの家のことは、叔父さんにお任せします」

あたしの言葉に、叔父さんはあたしの顔を覗き込むように見つめた。

「でも―――」

「いいんです、もう・・・・・。その方が―――きっとパパもママも、わかってくれると思うし」

「そうか―――。わかったよ」

ほっとしたように、叔父さんは頷いたのだった・・・・・。

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