王子様はカリスマホスト
部屋に戻ると、机の上にあの携帯電話の入った紙袋が置かれていた。

あたしはその紙袋を開けると、中から携帯電話と、メッセージカードを取り出した。

2枚のメッセージカードには、パパからとママからのメッセージが、それぞれ書かれていた。

『唯菜へ

 高校入学おめでとう。
 これはパパとママからのプレゼントだよ。
 受験勉強、頑張ったね。
 これからも、勉強も、それから勉強以外のことも頑張りなさい。
 お友達は大切に。

      パパ』

『唯菜へ

 高校入学おめでとう。
 泣き虫だったあの小さい唯菜が、こんなに大きく、立派に成長してくれてとてもうれしいです。
 唯菜はとても優しくて、かわいくて、ママにそっくりな女の子だと思ってます(笑)
 携帯電話、大切に使ってね。
 かっこいい男の子がいたら、パパに内緒で写メしてね
     
      ママ』

 
 優しいパパと、お茶目なママらしいメッセージ。

 思わず吹き出して―――

 同時に、涙が零れ落ちた。

「―――パパ、ママ―――ありがとう・・・・・」

今日は泣いてばっかりだ。

でも、今日だけはいいでしょう?

今日だけ―――

明日からは、ちゃんと笑えるように頑張るから―――

今日は、思い切り泣かせてください―――。
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