冬季限定!!ホットジャー



「そんなもの、正義だからと片付けてくれるな日下部さん。
勝てば官軍、負ければ賊軍、人間の間でそう言った言葉があるように勝てばいい、それだけなのだ…」



泣きじゃくる園児の間から今までとは雰囲気がまるで違う冬将軍が現れた。




「危ないですから、先生方避難して下さいまし」


そういうとヌックは園児を先生たちのところに誘導し、手を前にゆっくりと差し出した。



冷たい冷気が鋭さを増し、彼女の周りに円を描くように集まっていく。



一瞬、キンッと一際甲高く音が響いた……






バリバリバリバリー



「すごぉーぃ……」


園児の声は目の前に現れた氷の壁に吸い込まれた…



鈍くも美しい音を静かに立て、しかしそれは美しさに魅せられても決して崩せぬ氷の壁。



園児と職員を氷の壁向こうに閉じ込めた雪女は未だ冷気をまとい、涼しい口調にて言った。



「退路は確保しました、速やかに避難して下さいな」



「は、はい!!」




呆気にとられた職員が騒ぎ出した園児を避難させようと移動を始めた。




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