i want,
そんなあたしに、歩夢は一層固くなる。それでも震える視線を、あたしに向けた。

「…ごめんね。本当にごめんね」

小さく消えそうな声で呟くその言葉は、あたしを一層混乱させた。

眉間のしわを深くさせるあたしに、歩夢は今にも泣き出しそうな声で繰り返す。

「ごめん、あお。うちら、ほんと出来心で…」
「…ちょっと、何？何なん？」
「あの手紙…あれ、みどがやってたんよ。うちら、それずっとサポートしちょって。ほんと、ごめん。謝るから、だから…っ」

真実を告げた歩夢の声は、そのまま泣き声に変わった。

ぐらりと視界が揺れる。わかっていたはずなのに、告げられると息が詰まる程苦しい。

過去は終わってなんかいなかった。

消し去ることなんか、できてなかった。

唐突な告白に戸惑いを隠せないあたしに、歩夢はすがりつく様に続けた。


「だから、許して…っ」


涙に濡れた瞳をあたしに向ける。その色は恐怖に染まっていた。

あたしにはその理由がわからない。

「…どういう意味？」

本当に何が何だかわからない表情のまま、あたしは歩夢に訊いた。歩夢の声は震えたままで、とうとう嗚咽まで混じりだす。
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