i want,

ヒカルの哀しさは、きっと自分が愛されていないという思いから生まれたものだった。

そしてそんな自分では、誰もちゃんと愛せないと。
誰かを傷付ける。誰かを巻き込んでいく。

そんな闇を、ずっと抱えてた。

その哀しさを、その闇を、あの頃取り除いてあげれたのは、側にいたあたしだけだったのに。


あたしだけだったのに。


「誰も…悪くなんか、ないよ」


田口が小さく呟いた。

その優しさが今は、苦い。


固く目を閉じたら、ヒカルの背中が浮かんだ。


いつまでも消えない、後悔の様に。

















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