i want,

「まぁまぁのクラスかな」
「有希がおったら最高やったやろ?」
「有希は誠と同じじゃん」
「げっ、まじ?また誠と同じ?」
「愛のなせる技じゃね」
「ほんま最悪。うちらのこと置いていったこと文句言っちゃろ」

ほっぺを膨らます有希を見て、あたしは笑った。

あたしと有希、そして誠。
三人は所謂幼なじみというやつ。
人里離れた山裾に生まれたあたし達三人は、必然的に仲良くなった。片道一時間弱かかる小学校までの通学路も、いつも一緒に通ってる。

なのに今日に限って、誠は車で行っていたのだ。明確なる裏切り。

「多分今日、おじちゃん市役所じゃったんじゃろ」
「ついでにうちらも乗してってくれりゃいいのにね」
「トラクターに三人は無理じゃろなぁ」

ぶつぶつ文句を言いながら、ペタペタと廊下を歩く。
しんとした校舎。多分、朝の会――所謂ホームルームは始まっている。

始まってしまっていれば仕方ない。今更急いでも無意味だ。


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