氷の女王に口付けを

もう二度と飛行機には乗りたくありません。


「そうだタクさん! 僕トリプルアクセル跳べるようになったんだよ!」


「ほんとに? ちょっと見せてよ」


「うん!」


満面の笑みで龍君は頷く。


俺にもあんな可愛い時期があったのかなーなんて感慨深くなっていたがちょっと待て。


今龍君、トリプルアクセルって言った?


聞き間違いだろうと思っていたら、俺の目の前で龍君が3Aを跳んだ。


え、凄い完璧な3A……。


高さも幅も軸も、ノービスの選手にしたら十分過ぎるほどだ。


ライディングも綺麗だし、きっちりと回転してから降りてきている。


龍君はジャンプが得意な選手だけど、まさか十なん歳そこらでここまで完成させているとは……。
< 140 / 214 >

この作品をシェア

pagetop