危険ナ香リ




 屋上に入る為のドアは、やっぱり鍵がかかっていた。


 だから、ドアの前に2人で並んで座った。


 祐はすぐに喋り出した。




「なんで泣いたんだよ?」




 ……言いたくない。


 とゆうか、言っちゃいけないような気がしたから、言わなかった。


 口を閉ざすあたしに、この質問はダメだとなんとなく理解したんだろう祐は、次の質問をした。




「なんで走って出て行ったんだ?」

「……」

「なあ、恭子」

「……」




 あたしは何も言わなかった。


 膝を抱えて小さくなっているあたしの頬に、祐はそっと指をつけた。


 ビックリして少し顔を離して祐の方を見る。




「……もしかして」




 涙の跡を指先でそっと拭かれる。


 タバコのニオイがしない指先に、違和感を感じた。






「佐久間のこと……好きだった?」






―――― 泣いている時に側にいてくれたのは、佐久間先生だった。




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