危険ナ香リ



 こんな風に、嫌なところを見ちゃった次の日は、あの恒例行事。


 親友の柚乃(ゆの)ちゃんに愚痴を聞いてもらうっきゃないっ。





「だからさっさと告白しちゃえばよかったんだよっ。もったいなーい」





 ……すいませんでした……。



 しゅんと落ち込んで頭を垂れると、柚乃ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。




「よしよし。嫁ぎ先が決まらなかったらあたしが嫁にもらっちゃる」

「女同士で結婚なんかできないよぅ……」

「じゃあ外国に行こう。外国なら結婚できるんじゃない?」




 にひひ、と白い歯を見せて笑う柚乃ちゃんを見てつられて笑ってしまった。


 柚乃ちゃんって本当に優しい人だ。




 あたしが暗い方向に話を持っていかないように、さりげなく話をズラしていってるもん。



 これ以上自分自身で傷を広げないように、ってゆう柚乃ちゃんなりの配慮だとあたしなりに解釈した。



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