危険ナ香リ



 柚乃ちゃんは本当に優しくていい子だ。


 あたしが筆箱を忘れた時にひとつしかない消しゴムを半分に割って貸してくれたりした。


 そんなことも含めて、あたしにとっての柚乃ちゃんは一番大好きな友達だ。





「きょーこー!!」





 改めて柚乃ちゃんが大好きだって感じた直後、そんな大きな声がしてビックリしたあたしは肩を跳ね上がらせた。


 それと同時に心臓も跳ね上がらせた。




「ちょ、聞いてくれよ恭子(きょうこ)!」




 なんとなく顔を上げられなかったけど、バンッ!と机を叩いたその音につられて顔を上げてしまった。





―――― ドキッとした。



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