snow flake〜罪な恋に落ちて〜

ショートボブの黒髪を揺らし、微笑む彼女には正統派美人という言葉が相応しい。


二重の涼やかな瞳の奥に見え隠れする、強さと繊細さ。
パンツスーツを着こなす姿は落ち着いていて何年も先輩に見えた。


実際の年齢も私より3つ上なのに、鼻にかけない人柄が大好きだ。

親友というか、戦友というか、
この会社で共に励んできた私達には
すこしばかり、他より強い“絆”みたいなものがあった。


けれど、伊織にどう思われるか怖くて、
今回の事は言えなかった。


彼女に初めて、嘘をついた。



「‥…うーん。今日はお天気が良いし、お弁当を調達してテラスで食べない?」

朝は寒くても、昼になれば、冬の足音はまだまだ遠い。
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