【短編】セブンスター
「うぜえって、恭子の事だろ?」
もう充分に立っている毛先をねじりながら
的を得た質問を投げ掛ける、古い付き合いの同僚に
「あぁ、まあな。」
と正直に答えた俺は
「お前だけだよ、分かってくれるのは」
と、洗面台に手を付いたまましゃがみ込む。
「何?やっぱレミと喧嘩中だった?」
君らって分かりやすいよね、
と笑う同僚に
うるせぇよ、と返して
俺はトイレを出た。
「罪な男だねぇ」
と、ドアが閉まる直前、歌うような口調で
おもしろがっているのが丸分かりな
バカの言葉を
無視したのは
言うまでもない。