Touch Me <不定期更新>

the cross






12月のあの唄が
やけに耳障りで


ウソで飾りつけられた
シアワセ溢れる街を見るたびに

真っ白なタメ息が
私のかじかんだ手を暖める




あの十字架は

君と二人だったら
全然重くないんだけど


独りで背負ってると
投げ出したくなるよ




――ねぇ

君は今頃、何してるの?



いつだってそこにあった
君の柔らかな微笑みが

今、私の傍に居ないことが


こんなにも恐い――



私には誰も居ない気がして

私には何もない気がして


眩しすぎる街の灯りに

私はこのまま

消えてなくなって
しまうんじゃないのかって


意味もなく怯えて

肩を震わせながら
隅っこにうずくまる




キラキラの街も


優しく微笑みあう
隣をすり抜けてゆく

見知らぬヒトたちも


君のせいで大嫌いだ



涙を枯らすことが強さで

知らないフリを
することが優しさで



こんな風に
間違いだらけの私の道は

これから先も果てなく
続いてゆくのかな?



君の景色が
私の景色だと

そう胸を張って
笑っていたあの夏が

眩しくて――


暖かい涙がそっと

私の紅く染まった頬を伝った





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