【完】冷徹仮面王子と姫。
 突然の質問に一瞬期待するも、あたしが来れるか来れないかは弁当問題に関わっているのだと気づく。


 パンはあまり好きじゃないと以前言っていた。購買にはなるだけ行きたくないだろう。



「…うん」



 そう思った。期待を消したのに、



「よかった」



 無表情ながらにそう言った彼にあたしは、本当に強い恋心を抱いているのだろう。


 嬉しくて仕方ない。「よかった」っていう一言だけで。



 あたしには出来ないけれど、どうしようもなく引き止めたくなってしまった。



「じゃぁ明日」


「…うん、バイバイ」



 手を振った。角を曲がるまで見つめていた。



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