【完】冷徹仮面王子と姫。
 一人底辺まで落ち込むあたしに、あーちゃんが掛けた言葉。



「あんた、ウサギじゃなくてよかったわね」



 その言葉にあたしは、ただただ頷くより他無かった。


 もしあたしがウサギだったら。


 とっくに死んでしまっているかもしれない。



 凍死する前に。



「あーちゃあああん!!」



 あーちゃんに素晴らしい勢いでしがみついたあたし。


 こうでもしないと、人間なのに淋しさで死んでしまいそうだ。



「……人間からウサギに、変身しないでよ」



 溜息混じりにそう言ったあーちゃんのその台詞が、今のあたしには冗談に聞こえなかった。


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