【完】冷徹仮面王子と姫。

また…。

 数日が経ち、日曜日となった。


 あーちゃんと、遊ぶ約束をしていた。


 十時にモール西口で、待ち合わせている。


 開始には少し遅れてしまったけど、早くもサマーバーゲンをやっているから、今日は一杯買おうと思っている。


 ずっと楽しみにしていた。



「…よしっ。これでいいか」



 いつもは降ろしている髪をポニーテールにして、ショートパンツにチュニック。


 大して梅雨らしくも無いような梅雨も過ぎ去って、もうサンダルの季節。



 氷室君の家に行った時は、パンプスだったな…なんて事を、今更に思い出してみる。



「時間だ」



 ぶつぶつと独り言を言っているあたしは、誰かが見ていたら少しおかしい人かもしれない。



 お父さんもお母さんも出かけているから、あたしは行ってきますとも言わずに、黙って家を出た。



 現在九時三十五分。


 あっちの駅とモールは歩いて五分とかからないから、十分間に合う時間。



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