君のとなり

不思議な力

そして、新しく名前がつけられた翌日のことだった。


「勉強だッ!!勉強するぞ!」


突然シオンがそう言った。


いや、突然というか、多分その思いつきにはアスラにあった。


数分前。

「シオン、世界って何?政治って何?3つにわかれてるって何?同じじゃないの?」

テレビの前でアスラはシオンに質問責めをしていた。

アスラの聞いたことは全て、どんな幼子でも知っているはずのことだったのだ。


「ち、致命的すぎる……!」


シオンはそう叫んだ後、テレビを消した。


「あ」

アスラは小さく声を漏らしたあと、口を尖らせた。

「んな、顔すんなって……なぁ、インドラ―」


シオンはアスラの機嫌を損ねそうになり、今まで黙っていたインドラに話しを振ると、目と口を固く閉じながら青い顔をしていた。


「!?インドラ!どうした!?どっか痛むのか!?」


インドラの異変にシオンはそう叫びながら、インドラの肩を揺らした。


「シオン、ほっといた方がいいよ」


アスラがそんなことを言ったので、シオンは眉間にシワを寄せた。


他人で、知り合って2日くらいしか経ってないが、何故そんなことが言えるのだろうか。


無知だから?


子供だから?


否、そんなことは関係ない。


「アスラ!お前――」


「ぶはぁッ」


シオンがアスラを叱ろうとしたら、インドラの方から息を吐いた音が聞こえた。


ぶはぁッ……?


シオンはゆっくりとインドラの方を振り向いた。
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