ー LOTUS ーⅠ
しばらくして、一人の男が部屋にゆっくりと入って来る。

男はドア近くの死体を何気なく見た後、那智に近づいて来た。

思わず身体が震えてしまう。


「もう大丈夫だ。」


男がぶっきらぼうに、
それだけを言った。


この人は誰?助けてくれるの?


思い切って声を掛ける。


「貴方は、誰?」

「俺の事はどうでもいい・・。
 助けに来ただけだ。」


彼が名乗ることはなかった。
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