さよなら、天使
なんだ。別に大したことじゃなかったのかなぁ。

次の日、図書館に天使の事を調べに行った。

「すみません。天使の本ってありますか?」

「うーん。宗教の本とか小説とかならありますよ。」
「そうですか。。なんか天使の生態とか容姿とかがわかる本ってないんですか?」

「実在してる訳じゃないから、ありませんよ(笑)」
店員さんはクスクス笑った。

なんだか、恥ずかしくなってすぐに図書館を出た。

他の人には見えなくて、私だけに見える。。
幽霊だって見たことないのに。
そんな事を考えながら、ふと横を見ると、小さな教会があった。

「こんな所あったかな。。」
小さいけど白い壁にきれいなステンドグラスのある教会。ステンドグラスには天使が羽を広げている絵もある。

私はおそるおそる中に入ってみた。

中はシーンとしており、ステンドグラスの光が中に差し込みとてもきれいだ。

奥にはマリア様がいる。その像に近づいてじっと見つめた。優しく微笑んでいる。

「天使は本当にいるの?」

私はおもわず像に話かけていた。

すると奥の扉がギーと開く音がした。

「こんにちわ。」
ニコッと笑った神父さんらしき人がいた。

「あっ、すみません!勝手に入って。。」

「いいんですよ。ここは開放している場所ですから」
そう言うと神父さんは教会の掃除を始めた。
ゆったりとした口調でいかにも神父さんらしい神父さんだ。

私は教会の椅子に腰掛けた。
神父さんの掃除する音だけが教会に響いていた。

「すみません、神父さん。」
掃除をする音が止まり、神父さんが私の近くに来た。
「どうしましたか?」
神父さんの笑顔になんだかすべてを話してみたくなった。

「実は天使について調べてるんです。。おかしな話ですけど、私、、天使みたいな羽を持った人に会ったんです。でも、他の人には見えてなくて。。」

神父さんはこんな話をした私に変わらない笑顔を向けていた。

「すみません。こんな話をしてしまって。神父さんも信じられないですよね?」

何話してるんだろう。と急に恥ずかしくなって顔を伏せた。

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