君に花を。
ライバルは兄貴
部屋でぼーっと携帯を見つめていると、1階から柚の声が聞こえた。

「おじゃまします」

…兄貴め。こんなマネしてまで俺に言いたいんか。

オカンの声も聞こえてきた。

「なんや、彼女?きれーな子やなぁ」

「あの…」

「ささ、どーぞ」

2階に上がってきた。
トントンとゆっくりと。

俺は目を閉じて、ため息をついた。

コンコン。

ん?誰や、オカンか?

「蓮君」

柚!
うぉ!俺、上半身裸や!

さっとワイシャツを着て、きちんと正座をした。

「ど、どーぞ」

柚はゆっくりと扉を開けて入ってきた。

「あれ…兄貴は?」

「今、飲み物取ってくるって」

「そうか…」

俺は床を見つめて黙った。

< 27 / 112 >

この作品をシェア

pagetop