君に花を。
頭をさすっていると、柚が叩かれた部分を優しく触ってきた。

優しいなぁ、柚は。


「大丈夫…?」


「大…」


「大丈夫やで。ゴキブリ並やで」

「どこの世界でオカンが息子をゴキブリ呼ぶんや!」


「ここにおるやん」


最っ悪や。なんや、このオカン。もうええわ。相手にできへん。


柚の手をつかんで、頬にくっつけた。

俺の手より小さくて、白くて綺麗やった。


「れ、蓮君っ?」


顔を真っ赤にして、恥ずかしがる柚。俺は柚の手を唇に当てた。


絶対、兄貴なんかに渡してたまるか。


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