君に花を。
「柚、どいてくれ」


兄貴が柚の肩をつかむ。

びくっと震えて、服をつかんでいた手が震えた。


「…柚、目閉じて」


そっと目を閉じてもらうと、俺は柚の耳元でささやいた。


「深呼吸して」


柚の頭を撫でて、安心させた。

ごめんな。


「蓮っ」


「うるせぇ」


柚を見ろっつーの。


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