アナタハシニマシタ2
プロローグ
あれから五日経った。あれらから電話もメールもない。所詮、自分のことを後継ぎ程度としか思っていないから連絡がないのだろう。



言うことの聞かない娘より、言うことを聞く他人。どちらが扱いが楽かと言われればもちろん後者だ。




思わず笑みがこぼれた。今まで我慢していたからか自分も随分思いきった事をしたものだど。




両親と口論になり、当座の金と着替えを持って家を飛び出した。当座の金と言っても三ヶ月は一人で不自由しない生活が送れるだけの金額だ。一般人の言うレベルではない。



家を飛び出した際に持ち出したのは、別荘の鍵。両親が所有しているものの一つの鍵を持ってきた。足は付きそうだが賃貸物件より遥かにマシだ。



東京から新幹線のグリーン車に揺られながら見えてきた懐かしい風景。



しばらく見ていなかったが今でも覚えているということは、どれだけ刺激的な心震わせる物事が無かったか裏付ける。



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