どくんどくん ~SPRING SNOW~
こんなチャンスは滅多にない。

廊下には誰もいないし、夕日が廊下に差し込んでいて、ロマンチックだ。

ちょっと小走りで追いついた。

「あ、あの春瀬さんだよね?」

少し上ずった声で突然声をかけられた彼女はびっくりして勢い良く振り返る。

振り向いた彼女は、泣いていた。大きな瞳に、キラキラと光る涙が溢れんばかりに湧き出ている。


「あ、ごめんなさい。ちょっとコンタクトがずれちゃって。」

泣いているのを見られたからか、顔を赤らめて僕に謝る。


「大丈夫??」

僕は心配になり、ちょっと瞳を覗いて見た。

きれいな茶色い瞳。吸い込まれそうだった。

コンタクトがずれたという言い訳を信じる程僕は子供じゃない。
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