【完】最期の嘘
「優太、さん?お帰り。」



汐がおどおどしながら言うと、優太は不気味なくらいフニャフニャと笑う。



もしかして…酔ってる?



最終日は日本武道館の2Daysライブだとブログにも書いてあり、その余韻に浸ったまま打ち上げで盛り上がって酔っ払っていてもおかしくはないだろう。



汐が考えて、身体の動きを止めているうちに優太は汐を自分の身体で包み込む。



「えっ…ちょ!優太さん…!?」



驚く汐の耳たぶに優太は熱い唇を寄せ、その温度よりも更に熱い吐息で官能的に囁く。



「抱かせろ、よ。」



その低く、少しかすれた声が心なしか切なく感じられたのは、たった一瞬の出来事である。
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