【完】最期の嘘
そんな披露宴、祝辞を読む龍治は男泣きしている。



男泣きしている龍治の顔を楽しそうに録っているのは、シュガビの篥である。



顔に似合わない黒のスーツで参加している篥は、それを笑った龍治への腹いせに泣き顔をバッチリ押さえたのだ。



「ホント、篥は天使の覆面を被った悪魔だね。」



「煩い順平。黙れ。」



そんな篥を苦笑いで見つめる順平は、しきりに腕時計を気にしていた。



「はあ…それにしても、何をしているんだ?優太と汐ちゃん、礼治さんまで…。」



篥と順平の座るテーブルに空席が三つ。



そこに座るはずの三人は、まだ到着していなかった…。
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