【完】最期の嘘
溜息を一つつき、携帯をポケットにしまおうとした時…



汐の携帯が『都会の雨』を奏で始めた。



優太と交遊関係を持ってからというもの、シュガビの曲を聴くようになった汐。



新曲は優太のメール着信音に設定していた。



優太さんだ。どうしたのかな?



携帯を開き、メールボックスの中身の新着メールを見る。



『今度の土曜日からシュガビのライブツアーなんだけど、関係者席空けるからよかったら来ない?』



絵文字もなく、男っぽいメールだが、とても驚きの内容である。



『行く!絶対行きます!』



汐は即座に返信し、さっきまでの暗い気持ちなど忘れ、浮いた気持ちで携帯を閉じた。
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