ずっと大好き…この恋は秘密 …


「会えてよかった!

ちょっと来て!」


自転車を奪われ
みのりが戸惑いながらピアス男を追う。


「ちょっ…誰ですか?

先生呼びますよっ」


みのりの言葉にピアス男は耳をかさなかった。


周りの生徒も何事かと
2人に視線を注いでいたが

完全に恋人同士のケンカととられている様で
それがまた頭にくる。



ピアス男のものだと思われる四駆の自動車に

みのりの自転車を積んでいる背中をみのりが叩く。


「何?!

自転車泥棒?!
車のナンバー覚えたしすぐ通報するからっ」


みのりがケータイを取り出すと
ピアス男がケータイを奪った。


「静かについてきてくれないと困るんだよね。

別に何もしないからさっ
自転車も返すし」


憎めない笑顔で言うピアス男を
怪しそうに見てもう一度みのりが聞いた。


「…誰?」


「オレ美容師」




…じゃなくて名前。




言葉に出せなかったのは
ピアス男が腰についてるたくさんのハサミを見せたから。



今の状況のみのりには

凶器で脅されてるとしか思えなかった。



「乗って乗って」


ピアス男の笑顔に顔を強ばらせながら

みのりは言うとおりに車に乗った。





…これって誘拐?




「すぐつくからね〜」


笑顔を向けるピアス男の隣で

みのりが不安そうにカバンを抱きしめた。



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