ずっと大好き…この恋は秘密 …


みのりが振り向くと
近づいてくる浅井の姿があった。


「…『浅井さん』じゃん」


圭司が嫌みったらしく言う。


浅井がみのり達の近くまでくると圭司を睨んだ。


「…いい加減離せよ」


みのりの腕を掴んだままの圭司の手を見て言う。


「なんで?

別にあんたの女じゃないよね?」


圭司の言葉に黙った浅井を見て

みのりは自分から圭司の手を振り払った。


「浅井さん…

なんで急に…?」



みのりが聞いても浅井の強い視線は
圭司を捕らえたままだった。



「つぅか、あんた結婚してんだろ?

何浮気とかしてる訳?

佐倉の事ちゃんと考えてんの?


いい身分だよなぁ。

飽きたら奥さんとこ戻ればいいんだもんな?」




…―――パンっ!!




何も言い返さない浅井の隣で

みのりが圭司を叩いた。



「…それ以上言ったら許さないからっ

あたしが納得してるんだからいいのっ

…何度も言ってるけど圭司くんには関係ない」




強く圭司を睨むみのりに負けたのか


圭司がみのり達に背中を向けて歩き出す。



そして途中振り返った。




「…浅井。

佐倉泣いてるよ。

何回も何回も。


男なら好きな女泣かしてんじゃねぇよ」



それだけ言って圭司が店の中に戻る。



何も言わない浅井の隣で…

みのりも黙って立っていた。






何も言葉が見つからなかった。







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