ずっと大好き…この恋は秘密 …

小さな雪だるま



「…浅井さん?」


運転する横顔にみのりが声をかける。


「ん?」


「…道違いますよ。

ってゆうか方向が違って…」


「間違ってないよ」


みのりの家とは逆方向に
車を走らせる浅井に

みのりは状況が飲み込めずにいた。





あ…




みのりの頭に
この先にある場所が浮かぶ。



「…浅井さんの家?」


「クリスマスだし…


少しくらい遅くなっても平気だろ?

…門限厳しい?」


浅井の言葉にみのりは首を振った。


いつもは10時の門限も
クリスマスには無いようなもんだった。


去年も一昨年もクリスマスだけは外泊許可をもらった。


勉強を頑張る条件付きで
友達の家でクリスマスを過ごした。



「じゃあ何か買ってくか」


浅井の言葉にみのりが笑顔で頷く。


何より幸せな時間が続く事が嬉しくて顔が緩む。



浅井の車がコンビニに止まった。


小さなクリスマスツリーが出迎えてくれたコンビニの中はおでんの匂いが充満していた。



「おでん…」


呟いたみのりを浅井が笑う。


「クリスマスだろ?(笑)

おでんは却下」


浅井がお酒関係やチョコ系のお菓子、グラタンやらパンやらを適当にカゴに入れていく。



ケーキ…


渡辺にケーキをあげた事を少し後悔しながら

みのりはショートケーキが二切れ入ったパックを手に取った。



「先乗って暖めといて」


浅井がみのりの手からケーキを取り上げて

代わりに車のキーを渡す。



浅井に言われるまま
車に乗り込むと車内はまだ暖かかった。



エンジンをかけた後

みのりは車の中から浅井を見つめた。





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