ずっと大好き…この恋は秘密 …



「…浅井さんってあたしのどこが好きなんですか?」


みのりの唐突な質問に浅井が言葉を詰まらせる。


「…急に何?(笑)」


「だって…

あたし何にもできないし、他の子より飛び抜けてるところもないし…


りんごも上手にむけないし…」


いびつなりんごを見つめながら言うみのりに浅井が笑う。


「別に佐倉に何かして欲しいから一緒にいるわけじゃねぇし(笑)


…佐倉がオレと一緒にいるのと同じ理由だよ」



浅井はそう言ってみのりのむいたりんごを食べる。


「うまいよ」



…りんごがおいしいのは

農家の人の作り方が上手だからだし…


きっと今年の出来がいいからだし…

そんな笑顔向けられても…





みのりが困ったように笑みを返す。






『ただ一緒にいたいから』


『好きだから』


あたしが浅井さんと一緒にいたい理由はそれだけ。





『同じ理由だよ』



…浅井さんも同じように思ってくれてるの?



本当はまだ信じられないんだ。


浅井さんに『好き』って言われた事。






だけど


浅井さんの目が


あたしに向けられる笑顔が

優しく抱きしめる腕が


ケータイに揺れる雪だるまが…



あたしに少しだけ実感させてくれる。





『大切にされてる』って…







みのりが浅井を見つめていると

浅井と目が合った。


微笑んでくれた浅井に照れて
目の前のホットケーキを口に運ぶ。





せめて料理ぐらいは特訓しておかなくちゃ。





いびつに転がるりんごを見て

みのりは苦笑いした。



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