ずっと大好き…この恋は秘密 …


「驚きすぎて声も出ないの?(笑)」


薄ら笑いしながら言う沙紀にもみのりは反応できなかった。


頭の中が真っ白で―――…




みのりから見た沙紀は
きれいで…

とても落ち着きがあるように見えた。


「あ、佐倉さんていうんだ」


沙紀がみのりのネームプレートを見ながら言う。


「じゃあ佐倉さん、

ちょっとお話があるんだけど…


もちろん主人のことで」


勝ち誇ったように言う沙紀に
みのりがやっと頷いた。


沙紀が店の外に出て

みのりも少し後に続く。



店の駐車場には
沙紀のものだと思われる車が一台止まってるだけだった。


駐車場の端にある自販機の前まで来たところで沙紀の足が止まる。


「佐倉さんさぁ…いくつ?」


沙紀がくるっと振り返りみのりに聞く。


「…18です」


みのりが初めて声を出した。




振り絞るように出した声は…

少し震えていた。


「若いねぇ…

じゃあ別に遼太じゃなくても他に誰かいるでしょ?」


沙紀の言葉に返事せずに
みのりは沙紀の首のあたりをずっと見つめていた。


派手なネックレスが光っている。


顔を見る事は…

なんとなくできなかった。



「遼太にも困っちゃうわよねぇ…

本気じゃないのにこんな若い子に手出して…」


沙紀がみのりをじろじろ見ながら苦笑いする。


「まさか本気だなんて思ってないわよね?」


一方的に話す沙紀を前に
みのりは何も言う気になれなかった。


沙紀の言葉が耳に入ってくるのに…

頭が理解しようとしない。


ただ、隣から聞こえてくる自販機の音を聞いていた。


冷蔵庫に少し似ている音が


頭の中を駆け回る。



.
< 379 / 475 >

この作品をシェア

pagetop