ずっと大好き…この恋は秘密 …

譲れない気持ち



「あ…」


バイトに行くため自転車をこいでいたみのりが思わず足を止めた。


家と本屋のちょうど中間地点…



沙紀の姿を見つけてしまった。


知らない男と並んで歩く沙紀を…



…悟くんが言ってたっけ。


沙紀さんは特定の『誰か』を決めないって…



ってことは…

誰とも本気じゃないって事?


誰も彼氏じゃないって事?



周りにいる男の人達は…

今隣を歩く男の人は

ただの『友達』?



結婚してるから?



浅井さんに遠慮してるの?






やっぱり…

心では

浅井さんを思ってるの…?




いくら考えてもらちがあかない事に小さくため息をついて

またペダルをこぎ始めた。





考えたってしょうがない…


沙紀さんの気持ちなんて
あたしがいくら考えたところでわかんないんだから…


もしわかったとしても…



浅井さんと一緒にいたいっていう

あたしの気持ちは変わらないから…



みのりが自転車をこぎ始めた時

後ろから呼び止められた。






「佐倉さん!」


間違いなく沙紀の声だった…


少し高めのか細い声がみのりの耳に止まった。




自転車を止めてから小さく深呼吸して…



自転車を降りた。





気持ちをしっかりと持ってからみのりが振り向く。


みのりに歩み寄ってくる沙紀は少し笑みを浮かべて…

寒さからかチークなのか
頬がピンク色に染まっていた。




沙紀の隣を歩く男には目もくれずに

みのりが沙紀を見つめた。







『もう逃げない』


そう決めたから。




『受け止める』



沙紀さんからも…

自分からも





もう逃げないよ。





沙紀さんから…

もう目を逸らさない。






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