ずっと大好き…この恋は秘密 …



「その佐倉の事だよ」


圭司の真剣な顔から目を逸らしながら

浅井が3本目のタバコに火をつける。


「…言っとくけど

おまえには渡さねぇから」


「…別にあんたから佐倉を奪おうなんて考えてないけど…

佐倉があんたをどれだけ思ってきたか知ってるし。


オレが言いたいのは奥さんの事だよ」




圭司の言葉に

浅井が圭司を横目で見た。


タバコの煙が静かに空へと上っていく。


「それなら少ししたら協議離婚の手続きしてくるし…

みのりにもそう言ってある」


落ち着いたように言う浅井に

圭司が顔をしかめる。


「まぁ法的な事も大事だけど
オレが今言ってんのは全然違う。


佐倉は…

多分あんたには言ってないんだろうけど…


あんたの奥さん、こないだ佐倉に会いにここに来たよ」


吸ってたタバコを手に持ったまま浅井が圭司を見た。


驚いた様子の浅井を見て…

圭司が話を続ける。


「2日だったと思うけど…


呼び出されて少し話してた。

心配になってオレが話しかけた時には

佐倉少しおかしかった。
無理に明るくしてたけど。

まぁ…

振った手前
オレに心配かけるような事したくなかったのかもしれないけど」


後半の圭司の言葉が頭からするりと落ちていく。





沙紀が…


ここに来た…?





予想はしていたものの
突然の真実に浅井の気持ちが揺れた。




思い出されるのは…




数日前のみのりとの電話…


漠然と感じた不安と胸騒ぎ…






手に持ったままのタバコの灰が

グレーのアスファルトの上に落ちて…




混ざり合う。





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