ずっと大好き…この恋は秘密 …


「遼太のお父さんは古風で…

すごく頑固な人でね…



遼太には弟がいるんだけど
お父さん、弟とは仲がいいんだけど
昔から遼太とは衝突していたらしいの。

遼太も…自分の意志を曲げないところがあるから2人とも折れなくて…

顔を合わせばケンカしてたみたい。

一番ひどかったのは遼太がバイク買った時だって聞いたわ。


…お父さんからしたら心配で仕方なかったんだろうけど…猛反対されたらしくて…」



沙紀の目は

まっすぐ前を見ていて…


その先には昔の風景が映っているようだった。



沙紀が…

どうして急にこんな話をしだしたのか分からなかった。


でも

沙紀の顔は真剣で…


みのりはただ手の中の缶コーヒーを見つめながら聞いていた。


「…佐倉さんには本当の事言うけど…


あたし大学の頃からずっと遼太の事好きだったの…

あたしの周りにはなんでだかいつも男がいたから…

いつのまにか『軽い女』って噂が流れて
そのせいか遼太は全く相手にしてくれなかった…


あたしそれが悔しくて…

はっきりしなかったあたしが悪いのはわかってたけど…

悔しくて…


そんな時…あの事故が起こって…」


沙紀が

いつのまにかうつむいていた。


その顔が…

思い詰めたように悲しそうだった。


「あたし…

遼太とお父さんの関係の事なんて知らなくて…


だから『結婚して』なんて…

あんな事…」




『あんな事』…?



自分から望んでした結婚を
まるで後悔しているような言い方をした沙紀に
みのりが顔をあげた。


「お父さんは事故の事でさえかなり怒っていたのに…

あたしとの結婚が遼太と家族を絶縁状態にしたの…

遼太は…

あたしが事故で残った傷を知られたくないって思ってると考えてたみたいで…

お父さんには結婚する理由を
『子供ができたから』って…

説明したから」


途切れ途切れに話す沙紀の言葉がだんだん力弱くなっていく事に気づいた。


そして

気がつくと…


沙紀の目に涙が浮かんでいた。



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