ずっと大好き…この恋は秘密 …


傷を気にする沙紀さんをかばって、浅井さんは家族に嘘をついて結婚した。


子供ができたからって…




お父さんは結婚をする前に子供を作った事が許せなくて…

すごい剣幕で怒って


もともとうまくいっていなかった家族は…


その事をきっかけに壊れた。


そして

お父さんとの絶縁状態は今でも続いてる…



「知らなかったの…

遼太とお父さんがそんな関係だなんて…


だから…

最初は結婚できてうれしくて…

嘘ついた子供だって
すぐ作ればいいと思ったし
ずっと遼太について行くつもりだった。


だけど…」


沙紀の目からは今にもこぼれそうなほど涙がたまっていた。


その涙をこぼさないように沙紀が目を閉じる。


「遼太のお母さんからその事を聞いて…



聞いた時はあたしが遼太を支えればいいって思った。

好きだし…支えたいって心から思ったの。

でもいくら一緒にいても
あたしに気持ちを見せない遼太を見てるうちに…

家族との関係を悪くしちゃったあたしを…

遼太は本当は憎んでいるんじゃないかって…


怖くなって…」


「…それで家を出たんですか?」


みのりの言葉に沙紀が頷く。


「…一緒にいるのが怖かったの。

それに…

あたしを少しでも思ってくれてたら…迎えにきてくれると思って…」


沙紀が家を出てから1年半…

浅井が迎えに行く事はなかった。


浅井の目に映っていた沙紀は…

大学時代の噂通り『軽い女』だったから。


自分に飽きて出て行ったと思っていたから…


「でも来てくれなかった。

自業自得ね…

あたし…言い寄ってくる男をはっきり断れなくて…
何人もの人と付き合ってたから…


結婚してなんて言ったのも素直に告白できなかったから…

半ばやけになってて…


責任を感じてた遼太を追い込んだ…」


目の前を送迎バスが通り過ぎる。


バスの中に数人の南商の生徒がいることに気づき
みのりが顔を下に向けた。


コンクリートの地面の上に

沙紀の涙が落ちていた。




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