ずっと大好き…この恋は秘密 …


「今までの沙紀の事を話してくれて…

だから沙紀を受け入れてやってくれって…

オレに頭下げにきたよ」


浅井の言葉に

沙紀も崇も何も言わなかった。



「…オレ

沙紀の事全然見てなかったんだな…


まったく気付かなかった…


沙紀がオレの事考えてくれてた事も

オヤジに会いに行った事も…


ごめんな」


浅井が気まずそうに笑うと
沙紀が目を逸らした。


「別に…

悪いのはあたしだったから…

だから今度はちゃんと…」


「沙紀ごめん…

オレ沙紀とやり直す気はない」



浅井のはっきりした言葉に…

沙紀が呆然として…

そして口を開く。


「なんで…?

だって…佐倉さんと付き合ったりしたら…

余計お父さんが…」


「いいよ。

…オヤジなんかどうでもいい」


浅井の言葉に沙紀が言葉を失う。


「つぅか…

オヤジとの仲は沙紀のせいじゃないから。

沙紀が気にすることじゃないし
責任を感じる必要もないし…


もちろんオヤジには
みのりの事も文句言わせない」


浅井の言葉を

沙紀がぼーっとして聞いていた。


そんな沙紀を崇が見つめている。




まだ…

好きなんだ…




崇の沙紀を見つめる瞳を見ながらみのりがそう確信した。


「沙紀」


浅井に名前を呼ばれてようやく沙紀が浅井を見る。


「今までごめんな。

おまえもオレなんか気にしてないでそいつと向き合えよ。


…好きなんだろ?」


沙紀が一瞬口を開いて
何も言えずにうつむいた。





『救われた』


そう言ってたもんね…




あたしは…

圭司くんをそんな風には思えなかった。


浅井さんと離れても1人じゃない事に安心しただけで…

圭司くんといても…


きっと苦しかった。



好きじゃなきゃ…

そんな風には思えないよね…





赤くなってうつむく沙紀が…

なんだか可愛く見えた。






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