王国ファンタジア【宝玉の民】
糸目の男は深く溜息を吐き、訴える。
「冷たいなぁ〜、ダンナ。アタシのことはトールって名前で呼んでくれっていつも言ってるじゃないですか〜」
訴えられた言葉通り、冷たく突き放すように吐き捨てる。
「つまらない話はいい。質問に答えろ」
開いているのかいないのかよく分からない目を目一杯見開いて、男は続けた。
「怖いですねぇ〜。せぇっかくダンナに耳寄り情報持ってきてあげたのに〜」
「……いくらだ?」
一瞬の間を置いて、ドルメックは答えた。
糸目の男―トールは嬉しそうに頷く。
「ダンナはいつも話が早くて助かりますなぁ〜。二年越しのお得意さんですしねぇ〜。50万で手を打ちましょっ♪」
ちらりとトールのほうを見て、すぐに正面の街並みに視線を戻す。
「金はいつものルートで渡す。どんな情報だ?」