薔薇の王女
足元から熱くなり感覚がだんだんとなくなってくる



助けてくれと叫ぶ信者達の悲鳴がまた一つまた一つ消え


父親である男ももう下半身は感覚がなくなっていた



まだ意識のある内にと最後の言葉を叫んだ


「息子よ!聞こえるか?」


役人に手を捕まれながらも父の言葉を一つも聞き逃さぬ様に少年は前をむく


「父さんが死んでも仇を取るなんて考えるな、必ず誰かこの国を救ってくれる方が現れる!だからその方の為に命を捧げるんだ」




ゴホッ…ゴホッ…



もう少年からは父の姿は見えず火に飲み込まれてしまった



男も意識がなくなる寸前で最後に上を見上げる


この国を誰か救ってくれる様に



と―――…



そこで意識はなくなった
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