365回の軌跡
私はおばあちゃん子だった。家から車で20分くらいの隣町に私のおじいちゃん、おばあちゃんは暮らしていた。週末には家族でほぼ毎週通っていた。
私のおばあちゃんはのんびりした性格だった。いつもマイペースで、なにか嫌なことがあっても楽観的に考える人だった。そして愛情が強くて優しい人だった。
おばあちゃんは若い頃、病弱だった様で、私達の健康にだけはうるさかった。上着を着ろ、ボタンは上まで止めろ、日陰で遊ぶな、帽子を被れ……。
私が高一の頃、おばあちゃんは急に腹痛を訴え、病院へ運ばれた。診断結果は癌。余命半年。制服のスカートの丈が短過ぎて、風邪をひくから長くしろって怒られた次の日だった。
反抗期だった私はおばあちゃんがその頃、煙たかったがその話を母から聞いた瞬間、涙が止まらなかった。まだ幼かった私はおばあちゃんはずっといると思っていた。居なくなるなんて想像すらしたことがなかった。
それから私は暇があればおばあちゃんの家に通った。余命のことは本人には伏せていたが、呑気なおばあちゃんは病も治るものだと信じ切っていた。私は通う内に別の感情が湧いてきた。段々体が弱り、オムツを付ける様になったおばあちゃん。それを1日に何回か交換にヘルパーさんが来ていた。私にはしかし、オムツの交換が出来なかった。おばあちゃんのこんなに近くにいる孫なのに、役に立てないんだ。あんなに幼い頃から愛してくれたおばあちゃんを手伝うことが出来ない。私は悔しさで泣いた。
おばあちゃんは余命宣告通り、半年で息を引き取った。
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