365回の軌跡

出会いと再開

「宮川さん。新しいお客さんお願いしたいんだけど」
「はい!分かりました!」
季節は秋になった。街の道路には落ち葉が敷き詰め、空気も幾らか冷気を帯びる様になった。
「今回は男性のお客様で脳梗塞の後遺症で左半身が麻痺のため動かないわ。息子さん夫婦が同居しているけど日中は二人共仕事に出ていないため、食事準備と後入浴が出来ない環境のため、体を拭いて差し上げるケア内容よ」
「分かりました!」
「ただね…」
黒沢さんが少し意味あり気に間を置く。
「何ですか?」
「少し性格が厳格な方みたいね。困難なケースかも」
黒沢さんは書類に目を落としながら言う。
「そうですか…大丈夫です!何とか頑張ります!」
私は元気良く答えると黒沢さんは笑顔になった。
「了解。任せるわね」
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