ロ包 ロ孝
 片や音力では、俺達の意見により、総工費2千万強を費やして【十声】のブースが改造された。

 今迄の一点集中型の【前】(ゼン・全破壊)だけでなく、広域に放つそれにも対応出来るように、各部の補強やセンサーの追加等を行ったのだ。

「ああ、どうですか? サトッチ。その邪魔そうな胸はいくらかでも小さくなりましたか?」

 ブース完成の知らせを受け最終チェックに呼ばれた俺達は、北田とディスカッションをしながら備品の調整に当たっていた。

「貴男には要らない物かも知れないけど、この世の男の殆どは喜んでくれるのよ?
 それに! こういうのはセクハラ発言だと思いますぅ!」

 里美は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。

「ああ、サトッチ。気分を害してしまいましたか? 
 ……済みません。でもあのバトルスーツは大変高価な物なので、こちらとしてもなるべくなら現行のまま使用して頂きたいと思っていましたし……ぶっちゃけた話、根岸さんがタイプD、ああ、これはサトッチ用のユニフォームですが、そのタイプDにGOを出してしまった時点で予算的に逼迫して来てまして……このブースの改造費用を含め、まだ結果を出してもいない当部署としては、これ以上公費を湯水のように使う訳にも行かず……」

 ああっ! 行が多いっイヤ話が長いっ!

彼の話を聞いていると、それだけで疲れてしまう。これは北田流の秘術に違いない。

「まぁ詰まる所『ちったぁ我慢しろ』って事だ、里美。俺に免じて納めてくれよ」

「淳だってあたしの胸が無くなったら嫌な癖にっ! ……」

 里美はまだブツブツ言っている。確かにそれもそうなのだが、言っても仕方がないので放っておく。


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