オルゴール

「た・・・・拓･･･??」
拓は怒っているような気がした。
拓がこんな行動は普通しないからだ。
怒ってると思っていた。そのときまでは・・・・
「ｵﾚは・・・・・お前、愛華のｺﾄをただの幼馴染の友達だなんて思ってねーよ!!ｵﾚは･・・ｵﾚは・・・・」
拓は悔しそうな泣きそうな顔をしていた。
拓は言葉を全部言わずに公園から立ち去った。
愛華はベンチに座ったまま缶を握ったまま拓の投げた缶をぼーっと見つめ続けた。
何分も・・・何分も・・・・
びっくりしたのだ。
拓の言葉に。
”ただの幼馴染の友達だなんて思ってねぇーよ!!”
拓はそう思ってなかったの?
言いかけた言葉をなぜ言わなかったの??
ねぇ、拓。
でも、言われなくても愛華は分っていた。
”ｵﾚは好きな人だと思っている”
そう言おうとしていたんだと。
拓はまだ愛華のｺﾄが好きだったのだ。
愛華ももちろん拓のｺﾄが好きなのは変わってない。
でも、拓にはもう思われてないと思っていた。
だから愛華は”ただの幼馴染の友達”と言ったのだ。
拓が自分のことを好きじゃないと思ってたから・・・・・・。


それからずーとボーっとしていた。
「愛華･･??」
遠くから声がした。
声がした方をふと見ると侑がいた。
「あ、侑。」
「どうしたの、ボーっとして。」
侑は公園に入ってきて愛華の隣に座った。
「なんかあった?」
侑は、こういうのにとっても敏感だ。
とっても優しいんだ。
どうしていいか分らない愛華はひたすら侑にさっきのｺﾄを話した。
侑は黙って聞いてくれた。
でも、その表情は少しだけつらそうだった。