黒いペンキが零れた後は
耳元で囁いたのは、ティオだった。


「こんなことなら、真っ黒のままで良かった。知らないままで、良かった!」


気づくと、ぼくは叫んでいた。
嗚咽が、邪魔くさい。


「もう、遅い。お前は知ってしまった」


ティオの言葉が、容赦無くぼくを突き刺す。


そうだ。ぼくは、知ってしまった。
忘れることなんて、出来ない。
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