『縛』
『それに、
自分の空間っつうかなぁ?
居場所を確保する習性が
あんだよ。アイツは。

いつだって、他人を
信用しきらねぇ・・・。』


最後の言葉が、胸に響いた。

ニーノですら、
同じ様に思うんだ。


「無意識でやってんだろな。」


独り言の様に、
言葉が溢れた。


『アイツ、逃げ場がないと
ダメなんだよ。
何かあったときに
逃げ出せる所。』


ニーノは国外在住。
実親・・・は、
信用してない。

もはや、存在すら半ば
ないような状況・・・

美穂や山本には、
頼れない。

育ての親達は、亡くなり、
また、心配させたく
なかったり。


手近な頼り先のない、
サラ。


部屋をまだ残してたのは


俺とうまくいかなかった場合の
保険だったんだろう。


「サンキュ。
ちょっと見てくる。」


切ない気持ちを
抱きつつ、
口に出す。

『ああ。怒るなよ。
ヘソ曲げると、
手に負えねーぞ。』

いなかったら
連絡をくれっていって、
奴は電話を切った。


コインパーキングに
車を停めて、
サラの部屋に足を運ぶ。

まだ暗いとは言え、
周りの住宅街は、
霧のように
白んだ光に包まれる。

 
< 231 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop