『縛』
家の方へ近づき、
見慣れた景色が、車窓から
見える。

ナビもあるものの、
道を案内しながら、
要約、尋問時間終了が
来る事を知り、
ほっとする。


ほんと、まいった。

見ないようにしてるモノを、
しまい込んだ引き出しを、
彼は、どんどん開けていこうと
する。


いや、もう既に開けている。

まだ、ライト級のそれを
開けているだけの話だ。


そのうち、彼は、
深刻なものを、
当たり前の様にこじあける。

彼は、そういうタイプの
青年だと思う。

そうしておいて、
最後は・・・。

・・目頭が熱くなり、
考える事をやめた。


昨日、今日、
偶然であっただけの彼に
何故ここまで踏み込まれるのか
私には、正直、
合点がいかない。


涙が溢れ出す前に、
一人になりたい。


「ありがとう。
この辺でいいよ。」

車を停めてくれるように促す。


「サラ、慰めようか?」


彼は、チラッと、
こちらをみていった。


「いらない。他に、
慰めてあげる子いると
思うけど。」

後部座席を指して言った。


「あっ・・・そ。」

彼は、そういって
舌打ちをした。


 

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