『縛』
四台ある携帯が、
音こそ消してあるものの、
さきほどから、ひっきりなしに
着信が続き、光を放っている。


「あんまり不実な事、
しないほうが、
いいんじゃない?」

今までの仕返しとばかりに、
一言いってやった。

その瞬間、

「サラには、関係ないだろ?!
お前、俺の何を知ってるんだよ?!」

荒げた声が返ってくる。


「しらないわよ!!
大体、あなただって、
私に踏み込んで
きたじゃないっ!!」

自分の、叫び声に驚く。

こんな、怒り方をしたのは
初めてだ。

いつも

拒絶されないように
してきた。

恋人からも・・・
世間からも・・・

できるだけ、
深入りしないようにして、
距離を守ってた。


お前には関係ないって・・・

言われるのが怖くて。



なのに、
こんな奴に、その一言を
いわれるなんて。

悔しくて涙が溢れて来た。

泣き顔を見せるのが嫌で
車から下りようと、
体を返す。

「サラ、待てよ。」

「痛いってば!!」

彼に、腕を引き寄せられ
ヒステリックな声をあげる。

 
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