『縛』
新聞配達の、50CCバイクの
エンジンの音で目を覚ました。

カーテンの隙間からは、
ほのかに白い朝の光が、
濃紺に混じってさしこむ。


ボリュームを最小に絞った
テレビからは、映画が
流れっぱなしになっている。


夜中、二人で、
テレビをみていたが、
いつのまにか、
寝てしまったらしい。

私たちは、折り重なる様に
眠ってしまったらしく、
一つの毛布にくるまり、
彼は、私のひざに
頭を乗せて、
私は、彼の体に
体重を預けるように、
眠っていた。


志央はまだ、
ひざ枕をしたまま
眠っている。

照明とテレビを消して、
彼の髪を、指ですいてみた。

黒くてサラサラしてる。

綺麗な顔・・・


寝顔まで、綺麗なのね。


シャワーを浴びようかと
思ったけど・・・

彼を起こすのも可哀相かと思い
私も、再び、彼に
体重を預けるように重なり、
眠りについた。


あと少ししたら、
起こさないと・・・ね。


帰りがけ、周りの人に、
見つかるから。


あと一時間だけ


こうしてよう。



 

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